はじめに

今週のリストは156曲だ。曲ごとにその来歴をたどっていくと、ロバータ・フラック(Roberta Flack)という名前に3度行き当たった。ミシェル・ンデゲオチェロ(Meshell Ndegeocello)は新しいアルバムで、フラックとダニー・ハサウェイ(Donny Hathaway)が共に歌った「The Closer I Get To You」を歌い直した。そのダニー・ハサウェイの娘、レイラ・ハサウェイ(Lalah Hathaway)は、父の81回目の誕生日の頃に新しいアルバムを出した。そして先週の地図の1曲目だったスティーヴィー・ワンダー(Stevie Wonder)の未発表曲「I Can See The Sun In Late December」は、フラックがすでに1975年のアルバム[Feel Like Makin’ Love]で12分を超える長さで歌っていた歌だ。ロバータ・フラックは2025年2月24日、88歳でこの世を去った。

だから今回の地図はその場所から出発する。アメリカから始まり、カナダとカリブ海、イギリスとヨーロッパ、北欧を経て、アディスアベバとリスボン、バイーアで終わる。23曲だ。

北米

ワシントンDC — Meshell Ndegeocello, 「The Closer I Get To You」 (with Destin Conrad, Moses Sumney)

ワシントンDCで育ったベーシストでありシンガーのミシェル・ンデゲオチェロが、10月2日にブルーノートから[Synonym]を出した。古典15曲をデュエットで、ほとんどは同じ性別を自認する人たちと組んで歌い直したアルバムだ。ンデゲオチェロはこの作品がクィアの解放の表現であり、その解放はあらゆる種類の解放と同じ意味だと説明した。プロデューサーはンデゲオチェロとデヴィッド・ギャムソン(David Gamson)、エイブ・ラウンズ(Abe Rounds)。「The Closer I Get To You」は9曲目で、ジェイムス・エムトゥーメ(James Mtume)とレジー・ルーカス(Reggie Lucas)が書き、ロバータ・フラックがダニー・ハサウェイと歌って1978年にシングルとして出た曲だ。デスティン・コンラッド(Destin Conrad)とモーゼス・サムニー(Moses Sumney)が共に歌った。リストにはこのアルバムからさらに3曲ある。3曲目「Don’t Stop The Music」はニック・ハキム(Nick Hakim)、ロバート・グラスパー(Robert Glasper)と、10曲目「Golden Ring」はジョージ・ジョーンズとタミー・ワイネットの1976年の曲をブランディ・カーライル(Brandi Carlile)と、11曲目「I Got You Babe」はソニー&シェールの1965年の曲をアノーニ(ANOHNI)と歌った。レーベルによれば、アルバムにはフラックとハサウェイのもう1曲「Be Real Black For Me」も入っている。

シカゴ — Lalah Hathaway, 「Rainbo」

レイラ・ハサウェイはダニー・ハサウェイの娘で、1968年にシカゴで生まれた。バークリーを卒業し、グラミーを5度受賞し、2015年から自身のレーベル、ハサウェイ・エンターテインメントを運営してきた。9作目のアルバム[Made In Chicago]が10月初めに出た。父が生まれた1945年10月1日から81年になる頃だ。プロデューサーのフィル・ボードロー(Phil Beaudreau)と1曲を除いてすべて共作し、全曲を共同プロデュースした。「Rainbo」は9曲中6曲目だ。ソウル・メディアのソウルバウンス(SoulBounce)はこの曲を、ツーステップやラインダンス、ローラースケートに似合う曲だと書き、レビューでフルートにエレナ・ピンダーヒューズ(Elena Pinderhughes)の名を記した。ンデゲオチェロのアルバムのフルートも彼女が吹いた。フラックと共に歌った父が生まれた街の名を、娘がアルバム・タイトルにした。

バークレー — Elena Pinderhughes, 「ring ring」

1995年にカリフォルニア州バークレーで生まれたフルート奏者だ。マンハッタン音楽院で学び、チーフ・シャン・アトゥンデ・アジュア(Chief Xian aTunde Adjuah)、ハービー・ハンコック(Herbie Hancock)、コモン(Common)、エスペランサ・スポルディング(Esperanza Spalding)と共演した。兄はピアニストのサモラ・ピンダーヒューズ(Samora Pinderhughes)だ。「ring ring」はデビュー・アルバムからの新しいシングルだ。音楽メディアFEMMUSICによれば、アルバム・タイトルは[i hope you feel it too]で、10月23日に出る。ピンダーヒューズは、フルートがソウルフルで力みがなく、体を動かさずにはいられないグルーヴを導いてほしかったと語った。同じ週に他人のアルバム2枚でフルートを吹いた人が、自分の名前で出した曲だ。

シカゴ — Jeremy Cunningham, 「Somewhere to Be」

シカゴのドラマーであり作曲家のジェレミー・カニンガムが、10月2日にノーザン・スパイ(Northern Spy)から[Passing Fires]を出した。「Somewhere to Be」は最後の12曲目だ。アルバム制作にはポール・ブライアン(Paul Bryan)、ジョシュ・ジョンソン(Josh Johnson)、ジェフ・パーカー(Jeff Parker)、マカヤ・マクレイヴン(Makaya McCraven)、そして京都で生まれマサチューセッツで育ちシカゴで活動するセン・モリモト(Sen Morimoto)が参加した。ノーザン・スパイはマイク・リード(Mike Reed)を彼の身近な師であり仲間として、ベン・ラマー・ゲイ(Ben LaMar Gay)、ジェイミー・ブランチ(Jaimie Branch)、トメカ・リード(Tomeka Reid)を長年の協力者として紹介してきた。バンドキャンプには曲ごとのクレジットはまだない。アルバムを閉じる曲のタイトルが「いるべきどこか」だ。

LA × ロンドン — ALA.NI & Adrian Younge, 「Dusty Road」

グレナダ出身の両親を持つロンドン出身のシンガーALA.NIと、LAの作曲家でありプロデューサーのエイドリアン・ヤングの共作アルバム[Proud of Me]が、ヤングのレーベル、リニア・ラボから出る。9月14日の地図で「Face in the Evening」として紹介したあの組み合わせだ。2018年にLAで最初のセッションを行い、2020年に2度目のセッションをしたのち、ヤングがリニア・ラボで弦を加えて完成させた。「Dusty Road」は5曲目だ。ALA.NIは、その時々に経験することを耐えて支えるために、あるいはそれを防ぐために音楽を書いたと語った。8年前に始まったセッションが、この秋ようやく1枚にまとまる。

カナダ

モントリオール — Dominique Fils-Aimé, 「Ensorcelée」

モントリオールでハイチ出身の両親のもとに生まれたシンガー、ドミニク・フィス=エメは、ジュノー賞のヴォーカル・ジャズ・アルバム部門を2度受賞し、今年のアルバム[My World Is the Sun]はポラリス賞のロングリストに入った。10月1日にアンソウル・レコーズ(Ensoul Records)から出た「Ensorcelée」は、ケベックのシンガーソングライター、ダニエル・ベランジェ(Daniel Bélanger)が1992年のデビュー・アルバム[Les insomniaques s’amusent]に収めた曲を歌い直したものだ。FEMMUSICは、この曲が現代ケベックのポップ・ロックの形を作った曲であり、ケベック文化の中で象徴的な位置にあると書いた。フィス=エメは、愛はその表現が広く幾重にも重なっていると、自分がめったに歌わなかった種類の自由を探す曲だと語った。

トロント — Kazdoura, 「Ala Mahlak」

シリア出身のヴォーカル、リーン・ハモ(Leen Hamo)とレバノン出身のマルチ奏者ジョン・アブ・シャクラ(John Abou Chacra)が2020年にトロントで結成したデュオだ。アルバム[Ghoyoum]で今年3月にジュノー賞のグローバル・ミュージック・アルバム賞を受賞した。「Ala Mahlak」は新しいシングルで、ハビビ・ファンク(Habibi Funk)から出る新しいアルバム[Markab]の3曲目だ。レーベルは、このアルバムに伝統曲と、エリアス・ラハバーニ(Elias Rahbani)、ジョルジェット・サイエグ(Georgette Sayegh)の曲を新たに歌ったバージョンが入っていると紹介した。シリアとレバノンから来た二人が、トロントでその名前たちをもう一度歌う。

カリブ海

キングストン → パリ — Monty Alexander, 「Marcus Garvey」

1944年にジャマイカのキングストンで生まれたピアニストのモンティ・アレキサンダーが、10月2日に[A JAMARICAN IN PARIS]を出した。タイトルはジャマイカとアメリカを合わせた言葉として読める。1曲目「Marcus Garvey」はバーニング・スピア(Burning Spear)が1975年の同名アルバムのタイトル曲として歌った歌だ。ベースのルーク・セリック(Luke Sellick)、ドラムのジェイソン・ブラウン(Jason Brown)、パーカッションのボビー・トーマス・ジュニア(Bobby Thomas Jr.)とステファン・エドゥアール(Stéphane Edouard)が参加した。彼は10月6日にパリのニュー・モーニングで公演する。82歳のジャズ・ピアニストが、故郷のレゲエの古典でパリでのアルバムを始める。

イギリス

ロンドン — Us3, 「Catch The Vibe」

アス・スリーは1992年にロンドンでジェフ・ウィルキンソン(Geoff Wilkinson)とメル・シンプソン(Mel Simpson)がブルーノートと共に始めたグループだ。名前はブルーノートから出たホレス・パーラン(Horace Parlan)のアルバム[Us Three]から取った。同じ年の10月、ハービー・ハンコックの「Cantaloupe Island」をサンプリングした「Cantaloop (Flip Fantasia)」を出した。そのグループが10月2日に新しいアルバム[Snap, Crackle & Bop!]を出した。今回のアルバムのラップはニューヨークのMC、アキル・ダサン(Akil Dasan)が担当した。ダサンは2006年のアルバム[Schizophonic]からアス・スリーと共に活動してきた。ウィルキンソンは、母がいつも人生は目的地ではなく旅だと言っていたとして、今回もまたひとつの長い旅だと語った。30年あまり前にブルーノートのレコードを切り貼りしていたグループが、今も同じ名前でアルバムを出している。

リーズ → ロンドン — Nubiyan Twist, 「Homecoming」 (with eniola)

リーズ音楽大学で、ギタリストでありプロデューサーのトム・エクセル(Tom Excell)を中心に作られたバンドだ。ストラット(Strut)所属で、3月に5作目のアルバム[Chasing Shadows]を出した。そのアルバムにはジョー・アーモン=ジョーンズ(Joe Armon-Jones)、パトリース・ラッシェン(Patrice Rushen)、そして9月21日の地図でジェンバ・グルーヴの曲に参加していたマリのファトゥマタ・ジャワラ(Fatoumata Diawara)が参加した。ストラットはそのアルバムを紹介しながら、トリニティ・ラバンを卒業したばかりのエニオラ(eniola)を新しいリード・ヴォーカルとして発表した。10月2日に出たシングル「Homecoming」もエニオラが歌った。リーズの学校から始まったバンドが、新しい声と共に「帰郷」というタイトルの歌を出した。

ロンドン — Michael Kiwanuka, 「Summer Clothes」

マイケル・キワヌーカが10月23日にポリドールから5作目のアルバム[FUDGE]を出す。「Summer Clothes」は1曲目であり、10月2日に出たシングルだ。今回は自らプロデュースし、ドム・モンクス(Dom Monks)が仕上げのプロデュースを、ロージー・ダンヴァース(Rosie Danvers)が弦を担当した。サウサンプトン近くのドリーマーズ・スタジオとフルームで録音した。ミュージックビデオはチック・コリア(Chick Corea)のインタビューをもとにした。キワヌーカは、ファッジという言葉を思い浮かべると遊び心があって子どもっぽく、創作にいいのだと、それでいて、とにかくやってみるということを丁寧に言う言い方なのだとタイトルを説明した。

ロンドン — Nao, 「Eugene」

ナオが10月16日にインディペンデントで新しいアルバム[Autumn]を出す。RCAを離れて初めて出す作品で、リビングでの即興セッションから出発し、ロンドンのプロデューサー、デイヴ・オクム(Dave Okumu)と作った。季節ごとに1枚ずつ、4枚で続く連作[A Soulful Suite]の1枚目だ。9月30日に「Save The World」と共に出た「Eugene」は、この世を去ったディアンジェロ(D’Angelo)、本名マイケル・ユージーン・アーチャー(Michael Eugene Archer)に捧げた曲だ。ナオは、もうテーブルに席をもらおうと努力するのではなく、自分のテーブルを作っているのだと語った。タイトルに彼のミドルネームを付けた。

ロンドン × マセイオ — Azekel, 「I’ve Tried to Change It」 (with Bruno Berle)

ロンドンのソウル・シンガー、アゼケルの名前がこの地図に出てくるのは2度目だ。9月21日には、ベルリンのジェンバ・グルーヴとチューリッヒのオクショのアルバムに参加した名前として記した。9月30日に出た「I’ve Tried to Change It」には、ブラジル・アラゴアス州マセイオ出身でサンパウロで活動するシンガーソングライター、ブルーノ・ベルリ(Bruno Berle)が参加した。ベルリはレーベル、バタタ・レコーズを共に立ち上げ、7月にロンドンのファー・アウト・レコーディングス(Far Out Recordings)から出したアルバム[Sem Fronteiras]をロンドンとサンパウロ、ミナス・ジェライス、ドイツ、マセイオで録音した。アルバム・タイトルは「国境なしに」だ。

ヨーロッパ大陸

アルメリア × リオ — Niño Josele, 「Nem Um Passo Atrás」 (with Marisa Monte)

1974年にアンダルシアのアルメリアで生まれたフラメンコ・ギタリストのニーニョ・ホセレは、2006年のビル・エヴァンス・トリビュート・アルバム[Paz]で知られる。彼が主演を務めたフェルナンド・トルエバ(Fernando Trueba)監督の音楽映画[Bajañí]が9月22日にサン・セバスティアン国際映画祭で上映され、同名の3枚組の音源が共に出る。ニューヨークとスペイン、ブラジルで録音し、カエターノ・ヴェローゾ(Caetano Veloso)、ルベン・ブラデス(Rubén Blades)、ロン・カーター(Ron Carter)、ケニー・バロン(Kenny Barron)が参加した。「Nem Um Passo Atrás」はブラジルのマリーザ・モンチ(Marisa Monte)と共にした曲で、9月末にシングルとして出た。トルエバは、カエターノが穏やかな眼差しで、あなたは世界を救うために映画を作っているのだと言ってくれたと伝えた。

ケルン × ベルリン — Frank Kojo, 「Moko Lee」 (Jazzanova Remix)

ドイツのレーベル、サウンド・エッセンス(Sound Essence)は、フランク・コジョをケルンの「アフロレクトリック」の伝説と呼ぶ。レーベルによれば、「Moko Lee」は1988年にコジョがボニーM(Boney M.)のスタジオ・キーボーディスト、カルロス・エドゥアルド・“チコ”・デ・ロス・レジェス(Carlos Eduardo ‘Chico’ de los Reyes)と共に作った曲だ。10月2日に出た[Remixed]は1980年代のアフロ・エレクトロニックの原曲2曲を多くの人が手がけ直した作品で、1曲目が1995年にベルリンで結成され、1997年にレーベル、ソナー・コレクティブ(Sonar Kollektiv)を立ち上げたジャザノヴァ(Jazzanova)のリミックスだ。サウンド・エッセンスを率いるトム・スカイ(Tom Sky)は、ジャザノヴァが帰ってきたと紹介文の1行目に書いた。原曲もデジタル・ボーナスとして収められた。ケルンのテープが40年近くたって、ベルリンでもう一度回った。

ベルギー — Echoes of Zoo, 「Multicellularity」

サックスのナタン・ダームス(Nathan Daems)、ギターのバルト・フェルファーク(Bart Vervaeck)、ベースのリーヴェン・ファン・ペー(Lieven Van Pée)、ドラムのファルク・スフラウエン(Falk Schrauwen)が2018年に結成したベルギーのカルテットだ。メンバーはブラック・フラワー(Black Flower)、コンプロ・オーロ(Compro Oro)、デ・ベーレン・ヒーレン(De Beren Gieren)でも活動する。10月2日に出した3作目のアルバム[Collective Intelligence]は、動物の集団行動をテーマにした。「Multicellularity」は7曲中5曲目だ。最初のシングル「Flock Logic」は2024年初めのブラジル・ツアーから生まれ、バンドはその曲について、空で渦を巻く鳥の群れを見ながら、どうやってひとつの心のように共に方向を決めるのか不思議に思ったと語った。別々の3つのバンドから集まった4人が、集合知というタイトルを付けた。

パリ — Grain de Caf’, 「Paname State of Mind」 (with Oxmo Puccino, Vin’s Da Cuero)

ラッパーのオクスモ・プッチーノ(Oxmo Puccino)は1974年にマリのセグーで生まれ、1歳でパリに来て19区で育った。タイム・ボム(Time Bomb)を経て、2006年にブルーノートから[Lipopette Bar]を出した。グラン・ド・カフは2007年にヒップホップ・メディアのアベセデール・デュ・ソン(Abcdr du Son)とのインタビューでオクスモを自分の影響に挙げ、二人は「Trente Nerfs」ですでに共演したことがある。10月1日に出た「Paname State of Mind」はグラン・ド・カフのシングルで、プロデューサーのヴィンズ・ダ・クエロ(Vin’s Da Cuero)が作った。影響を与えた先輩と、その影響を受けたと語った後輩が、1曲の中で再会した。

北欧

ヘーネフォス × オスロ — LINDSJØRN, 「This Is Where I´m Breathing」 (with Bernhoft)

ノルウェー、ヘーネフォス出身のシンガー、イングヴィル・リンショーン(Ingvild Lindsjørn)は、2020年のデビュー・アルバム[Flying High]を出した頃のインタビューで、ノルウェー・ソウルの影響としてベルンホフト(Bernhoft)とオーレ・ブールド(Ole Børud)を挙げた。6年後の9月25日、そのベルンホフトと共に歌ったシングルが出た。ヤーレ・ベルンホフト(Jarle Bernhoft)は2011年のノルウェーのスペレマン賞で年間スペレマン賞と男性アーティスト賞を受賞し、2014年のアルバム[Islander]でグラミーのR&Bアルバム部門にノミネートされた。リンショーンはデビュー作について、すべての曲にグルーヴがあって踊れるけれど、とてもゆったりしていて、まさに自分の好きなやり方だと語った。彼女が挙げたもうひとつの名前は、すぐ次の曲にある。

スウェーデン — Aspen Creek, 「Champagne On Ice」 (feat. Ole Børud, Tollak Ollestad)

アスペン・クリークはスウェーデンのAOR/ウェストコースト・プロジェクトだ。2作目のアルバム[We Chase The Rising Sun]が9月に日本のPヴァインから先にCDで出て、9月25日にストリーミングで公開された。「Champagne On Ice」は14曲中9曲目だ。ノルウェーのシンガー、オーレ・ブールドは、2024年のデビュー作[Tomorrow Take You Home]の「Tomorrow’s Girl」に続いて再び参加し、トラック・オレスタッド(Tollak Ollestad)も加わった。アルバムの最後の曲には、スウェーデンのギタリスト、ヨイエ・ワデニウス(Jojje Wadenius)とサックス奏者マグヌス・リンドグレン(Magnus Lindgren)が登場する。前の曲のリンショーンが6年前に名前を挙げたオーレ・ブールドが、同じ頃スウェーデンのプロジェクトのアルバムで歌った。

ロスキレ → ロンドン — Marie Dahlstrom, 「1 Journey Away」

9月21日の地図で、次男の話を込めた「Joined」として紹介したマリー・ダールストロムの3作目のアルバム[MARIE]の4曲目だ。6月にシングルとして先に出た。ヴァージニア州リッチモンドのバンド、ブッチャー・ブラウンのドラマー、コリー・フォンヴィル(Corey Fonville)、キューバのパーカッション奏者エリエル・ラソ(Eliel Lazo)、LAの音楽家イライジャ・フォックス(Elijah Fox)が共にプロデュースした。ロンドンとコペンハーゲン、LAを行き来しながら書いた。ダールストロムは、この曲がいくつもの国に散らばって暮らす家族と、彼らにもっと近くにいたいという気持ちについての歌だと語った。デンマークで生まれロンドンに住む人が、「旅ひとつ分の距離」をタイトルにした。

アディスアベバ

アディスアベバ — Teodros Makonnen, 「Eyewat Sitinafekegn」

テオドロス・“テディ・マック”・マコンネンはアディスアベバのキーボーディストでありプロデューサーで、1980年代のエチオピア音楽の「デジタル時代」を作った人として紹介される。1980年代初めにカセットでのみ出ていた[Teodros Makonnen With His Organ]が10月2日、2020年にアディスアベバで設立されたレーベル、ムジカウィ(Muzikawi)から再発された。ワビ・シェベレ・ホテルで出会ったサウジアラビアの外交官のヤマハ2段オルガンで、一発で録音した作品だ。「Eyewat Sitinafekegn」は9曲中7曲目だ。ムジカウィの共同設立者サムエル・ムルゲタ(Samuel Mulugeta)は、音楽家たちには自分の声と歴史を保存してもらう資格があると語った。外交官のオルガンで録音したカセットが、40年あまりぶりに故郷のレーベルから再び出た。

ポルトガル語の歌

リスボン × サンパウロ — Salvador Sobral, 「Bam Bam」 (com Ney Matogrosso)

1989年にリスボンで生まれたサルヴァドール・ソブラルは、2017年に姉ルイーザ・ソブラル(Luísa Sobral)が書いた「Amar pelos Dois」でユーロビジョンに優勝した。10月16日に出る5作目のアルバム[A Flor do Recomeço]は、ブラジルの作曲家たちの曲をブラジルの演奏者たちとサンパウロで録音した。マルクス・プレット(Marcus Preto)とトー・ブランジレオーニ(Tó Brandileone)がプロデュースし、アドリアーナ・カルカニョット、マルセロ・カメロ、マルコス・ヴァーリ、チン・ベルナルデス、アルナルド・アントゥネス、シコ・セーザルといった名前が作曲に参加した。「Bam Bam」は2枚目のシングルで、1973年から翌年までセコス・イ・モリャードス(Secos & Molhados)で歌い、1975年にソロになったネイ・マトグロッソ(Ney Matogrosso)が共に歌った。ソブラルはポルトガルの公共放送RTPに、ブラジルのアルバムを作ろうとしたのではなく、ブラジルの作曲家たちの歌をポルトガルの歌手が歌うアルバムを作りたかったという趣旨で説明した。

バイーア × サンパウロ — Ivan Sacerdote, 「A Luz de Tieta」 (with Vanessa Moreno)

リオで生まれバイーアで活動するクラリネット奏者イヴァン・サセルドチは、9月14日の地図でファテウ(Fatel)のアルバムでクラリネットを吹いた人として紹介した。2020年にカエターノ・ヴェローゾとデュオ・アルバムを出し、そのときカエターノは、誰もが彼の息遣いの優しさに魅了されたと語った。9月25日に出た「A Luz de Tieta」には、サンパウロのシンガー、ヴァネッサ・モレーノ(Vanessa Moreno)が参加した。原曲はカエターノがカカ・ジエギス(Cacá Diegues)監督の1996年の映画[Tieta do Agreste]のために書いた曲で、カエターノはこの曲をガル・コスタ(Gal Costa)と共に録音した。カエターノがある映画のために書いた歌を、彼とアルバムを作ったクラリネット奏者が30年ぶりにもう一度取り出した。同じ週のリストのニーニョ・ホセレの作品にもカエターノの名前がある。

おわりに

23曲を都市ごとに並べてみると、最初の名前がもう一度残った。ロバータ・フラックがダニー・ハサウェイと歌った歌はミシェル・ンデゲオチェロのアルバムで歌い直され、ハサウェイの娘は父が生まれた街の名前でアルバムを出し、その両方のアルバムでエレナ・ピンダーヒューズがフルートを吹いた。リンショーンが6年前に影響として挙げた二人は、同じ頃に、ひとりは彼女と共に、ひとりはスウェーデンのプロジェクトで歌った。ナオは旅立った先輩のミドルネームを曲のタイトルにした。

この順番は地図を描くために決めたものにすぎない。リストをシャッフルして流せば、シカゴの次にアディスアベバが出てきて、リスボンの次にヘーネフォスが出てくる。その順番は聴く人が決めればいい。

来週はまた誰の名前がクレジットから引っかかって出てくるのか、わからない。