はじめに

今週のリストの名前は「20260928 プレイリスト」で、1曲目はスティーヴィー・ワンダー(Stevie Wonder)だ。彼の[Songs in the Key of Life]が出たのは1976年9月28日。ちょうど50年目のその日、スティーヴィー・ワンダーはあのアルバムのセッションから漏れていた4曲を初めて世に出した。

126曲を見ていくと、今週はこうして古い歌をもう一度取り出した音源がとりわけ多かった。20周年を迎えたアルバムの曲をアビー・ロードで録り直した人がいて、この世を去った巨匠の1958年の曲でトリビュート・アルバムを始める人がいて、生誕90周年を目前にした作曲家のサンバをまるごと歌った人がいる。だから今回の地図は、もう一度取り出された歌と、その歌を取り出した人をたどって描いた。デトロイトとニューヨークから始まり、ロンドンとパリ、東京とメルボルンを経てリオで終わる。23曲だ。

北米

1976 → 2026 — Stevie Wonder, 「I Can See The Sun In Late December」

9月28日に出た[Songs In The Key Of Life: The EP]は、1976年の[Songs in the Key of Life]のセッションで録音しながら発表されなかった4曲をまとめたものだ。1976年のアルバムに付いていたボーナスEP[A Something’s Extra]とは別の、スティーヴィー・ワンダー自身の録音としては初めて公開される曲たちだ。4曲とも彼が書いてプロデュースし(「My Life Story Of Love」はスサイ・グリーン(Susaye Greene)と共に作詞)、選曲も自ら行った。ミックスは当時アルバムを手がけたエンジニアのジョン・フィッシュバック(John Fischbach)とゲイリー・オラザバル(Gary Olazabal)が新たに担当した。「I Can See The Sun In Late December」は3曲目だ。スティーヴィー・ワンダーはこう語った。50年間このアルバムと共に生きてきたが、まだ聴くべきものがあると。半世紀前にスタジオに置いてきた歌を、当時アルバムを手がけたエンジニアたちと共にもう一度取り出した。

ニューヨーク — Joshua Redman, 「Grand Street」 (with Peter Bernstein, Christian McBride, Marcus Gilmore)

ソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)が今年5月にこの世を去った。サックス奏者ジョシュア・レッドマンが11月20日にブルーノートから出す[If Ever You Would Leave Us (we play for Rollins)]は彼を偲ぶアルバムで、「Grand Street」はその最初のシングルだ。原曲はロリンズが書き、1958年の[Sonny Rollins and the Big Brass]に収めた曲で、そのときドラムを叩いたのがロイ・ヘインズ(Roy Haynes)だった。今回の録音でドラムを叩いたマーカス・ギルモア(Marcus Gilmore)はロイ・ヘインズの孫だ。ベースのクリスチャン・マクブライド(Christian McBride)は1990年代前半から半ばにかけてレッドマンのカルテットにいて、ギターのピーター・バーンスタイン(Peter Bernstein)も1990年代半ばに彼のバンドを経ている。レッドマンは、ロリンズを知ったことが自分にとって入口であり北極星だったと語った。マクブライド率いるアーサ・メジャー(Ursa Major)の[Points of Light]の3曲目「Cows」もリストにある。9月14日の地図で「No Rhyme, No Reason」として紹介したあのアルバムだ。祖父が68年前に叩いた曲を、孫がもう一度叩く。

ワシントンDC → ニューヨーク — Ekep Nkwelle, 「The Creator Has a Master Plan」

エケップ・ンクウェル(Ekep Nkwelle)は、ワシントンDCのデューク・エリントン芸術学校とハワード大学を経てジュリアードで修士を終えたシンガーだ。9月25日にマック・アヴェニュー(Mack Avenue)からデビュー・アルバム[Caged Bird]を出した。マヤ・アンジェロウ(Maya Angelou)に触発されたアルバムで、ンクウェルはこのアルバムを痛みと生存の歌を記録しておいたものだと説明した。「The Creator Has a Master Plan」はファラオ・サンダース(Pharoah Sanders)が1969年にインパルス!(Impulse!)から出した[Karma]の曲で、サンダースとレオン・トーマス(Leon Thomas)が共に書いた。同じリストにはファラオ・サンダースの子が出したシングルも入っている。すぐ次の曲だ。

ニューヨーク — Tomoki Sanders, 「Jazz Is Just A Game」 (feat. Nicholas Payton, Mélanie Charles)

トモキ・サンダースはファラオ・サンダースの子だ。ドラマーのカッサ・オーバーオール(Kassa Overall)のバンドで長く活動し、「トモ・チューズデイズ(Tomo Tuesdays)」という名の定期公演を主宰している。「Jazz Is Just A Game」はジャイルス・ピーターソン(Gilles Peterson)のレーベル、ブラウンズウッド・レコーディングス(Brownswood Recordings)から9月30日に出たシングルだ。ニューオーリンズのトランペット奏者ニコラス・ペイトン(Nicholas Payton)とシンガーのメラニー・シャルル(Mélanie Charles)が参加した。タイトルはジャズという言葉そのものを狙っているようにも読めるが、その意味は自分の耳で確かめてほしい。父が1969年にレオン・トーマスと共に書いた歌を別の歌手が歌い直した週に、その子は自分の名前でシングルを出した。

オハイオ → シカゴ → LA — megiapa, 「Black Gold of the Sun」

megiapaはオハイオで生まれ、シカゴのアンダーグラウンドのビート・シーンで10年以上活動したのち、2023年にLAへ移ったプロデューサーでありヴォーカリストだ。言語学者でもあり、ヴィジュアルの仕事もする。9月25日にシカゴのインターナショナル・アンセム(International Anthem)からデビュー・アルバム[Intentions]を出した。ほとんどを自らプロデュースし、シカゴ市文化局の助成金を一部受けて制作した。「Black Gold of the Sun」は5曲目で、チャールズ・ステップニー(Charles Stepney)とリチャード・ルドルフ(Richard Rudolph)が書き、ニュー・ロータリー・コネクション(The New Rotary Connection)名義で1971年の[Hey, Love]に収められた「I Am the Black Gold of the Sun」を歌い直した。すぐ前の4曲目「( ( on the spaceway ) )」もリストにあり、レーベルによればサン・ラ(Sun Ra)の「Space Is the Place」の引用で終わる。同じ週、LAのジメッタ・ローズ(Jimetta Rose)はサン・ラの録音を想像し直したアルバム[MettaSun]を出し、その最後の曲「I’ll Wait For You」も今回のリストにある。megiapaは、恐れが夢を阻むのだと、共に夢を見ようと書いた。

デトロイト × ブルックリン — Apollo Brown & Skyzoo, 「The Rearview」

グランドラピッズで生まれデトロイトで活動するプロデューサーのアポロ・ブラウンと、ブルックリンのラッパー、スカイズー(Skyzoo)が9月25日に[Luxury Tax]を出した。2016年9月30日の[The Easy Truth]以来、10年ぶりに二人で作ったアルバムだ。14曲すべてをアポロ・ブラウンがプロデュースし、1曲目「Soapbox Two」は[The Easy Truth]の1曲目「Soapbox」を引き継ぐ。「The Rearview」は最後の14曲目だ。タイトルはバックミラーのこと。ヒップホップ・メディアのスニークス・アンド・ビーツ(Sneakz & Beatz)は、昔ながらのやり方で作ったプロデューサーとラッパーのアルバムだと書いた。10年前の1曲目のタイトルに「ツー」を付けて始め、後ろを振り返る曲で終える。

LA — Kiefer, 「Get to the Moon」 (feat. Amber Navran, Relyae, CARRTOONS)

9月14日の地図でシングル「BusyForYa」として紹介したキーファーのブルーノート・デビュー作[Memory Bomb]が、予定どおり9月25日に出た。サンディエゴで育ち、UCLAでケニー・バレル(Kenny Burrell)に学んだピアニストだ。アルバムはキーファーとギタリストのシボ(Shibo)、カートゥーンズ(CARRTOONS)が共にプロデュースした。「Get to the Moon」は5曲目で、ムーンチャイルド(Moonchild)のシンガー、アンバー・ナヴラン(Amber Navran)とカートゥーンズ、レリエイ(Relyae)が参加した。2週間前の地図でシングルとして先に紹介したアルバムが、今週はアルバムとしてリストに入った。

フォートワース × ロンドン — Leon Bridges, 「The Way It Goes」

テキサス州フォートワースで育ったリオン・ブリッジズが、9月25日にコロンビアから5作目のアルバム[Happiness Anytime]を出した。7月から4曲ずつEPに分けて公開し、それを1枚にまとめた。プロデューサーはロンドンのバンド、ジャングル(Jungle)のJ・ロイド=ワトソン(J Lloyd-Watson)とリディア・キトー(Lydia Kitto)だ。「The Way It Goes」は10曲目で、リディア・キトーが声を添えた7曲目「All Day, All Night」もリストにある。ブリッジズは、このアルバムが人々の骨の髄に残ってほしいと、自分の役割は光になることだと語った。テキサスのソウル・シンガーが、ロンドンのダンス・バンドの二人にプロデュースを託した。

イギリス

リーズ → イビサ — Nightmares On Wax, 「Damn」 (Abbey Road Gospel Version, with Chyna B)

リーズ出身で、今はイビサに住むジョージ・エヴリン(George Evelyn)の名義だ。「Damn」は2006年にワープ(Warp)から出した[In a Space Outta Sound]の5曲目だった。アルバムの20周年を迎え、9月25日にワープから2曲入りEP[In A Space Outta Soul]が出た。アルバム・タイトルの「Sound」が「Soul」に変わった。ロイヤル・アルバート・ホール公演のために組んだアレンジでアビー・ロード・スタジオ2で録音し、マイク・レサージ(Mike Lesirge)が音楽監督を務めた。「Damn」は2曲目で、シンガーのチャイナ・B(Chyna B)が歌った。1曲目はモーゼズ(Mozez)と共にした「You Wish」の同じ方式での録音だ。バンドキャンプの紹介文は、その瞬間の遺産を残すために録音したと記した。

エセックス — Forest Law, 「Enchanted」

フォレスト・ローはエセックスで育ち、ロムフォードで制作を続けてきたアレクサンダー・バーク(Alexander Burke)だ。ジャイルス・ピーターソンの新人発掘プログラム「フューチャー・バブラーズ(Future Bubblers)」を経て、2020年にブラウンズウッドからEPを出した。前に出たトモキ・サンダースと同じレーベルだ。2024年のデビュー・アルバム[Zero]には、先週のリストにも曲があったピアニストのグレッグ・フォート(Greg Foat)が参加した。今回はレ・ディスク・ボンゴ・ジョー(Les Disques Bongo Joe)から7インチ[Golden Crown / Enchanted]を出す。B面の「Enchanted」はプリファブ・スプラウト(Prefab Sprout)が1988年の[From Langley Park to Memphis]に収めた曲だ。バンドキャンプの紹介文は、原曲の機知と優雅さを守ったと書いた。デジタルは9月25日に出て、7インチは10月16日に出る。

ニューアム — Alfa Mist, 「Found You (Live at Real World Studios)」

アルファ・ミストはイースト・ロンドンのニューアム出身のピアニストで、ヒップホップのサンプリングからジャズに入ってきた。自身のレーベル、セキト(Sekito)から9月25日に[Live at Real World Studios]を出した。ピーター・ガブリエルのリアル・ワールド・スタジオでバンドと共にライブ録音したアルバムだ。ベースのカヤ・トーマス=ダイク(Kaya Thomas-Dyke)、ドラムのジェイミー・ホートン(Jamie Houghton)、ギターのジェイミー・リーミング(Jamie Leeming)、トランペットのジョニー・ウッダム(Johnny Woodham)、サックスのサミュエル・ラプリー(Samuel Rapley)が参加した。「Found You」は1曲目で、原曲は2025年のアルバム[Roulette]にある。1年前のアルバムの曲を、ライブ・バンドと共に録り直した。

マンチェスター × ロンドン — KinKai, 「Again」 (feat. ENNY)

キンカイはマンチェスターのラッパーであり、ソウル・シンガーだ。2020年にチルドレン・オブ・ゼウス(Children of Zeus)と「Top Down」を出した。9月22日に出た「Again」にはロンドンのラッパー、エニー(ENNY)が参加した。二人は初対面ではない。キンカイは2021年、エニーのデビューEP[Under Twenty Five]にゲスト参加している。ミュージックビデオは精神科の診察室を舞台に撮った。ヒップホップ・ブログのザ・ヒップホップ・デモクラットは、二人の息がなめらかに合っていると書いた。5年前にエニーのデビュー作にゲストで入ったラッパーが、今度はエニーを自分のシングルに呼んだ。

ヨーロッパ大陸

パリ — Émile Parisien, 「Portal」 (with Yaron Herman, Prabhu Edouard)

ソプラノ・サックス奏者のエミール・パリジャンは、2012年にジャンゴ・ラインハルト賞、2014年にヴィクトワール・デュ・ジャズの年間最優秀アーティストを受賞した。テルアビブで生まれパリで活動するピアニストのヤロン・ヘルマン(Yaron Herman)、タブラとパーカッションのプラブ・エドゥアール(Prabhu Edouard)、ベーシストのリンダ・メイ・ハン・オー(Linda May Han Oh)と組んだカルテットが、9月25日にACTから[Floating]を出した。パリのシテ・アンテルナシオナルでパリジャンが2年間続けてきたレジデンシーを締めくくる公演から始まったカルテットだ。「Portal」は11曲中5曲目。パリジャンは、この音楽の中心には平和と詩、優しさと愛があり、今起きているすべてのことへの釣り合いのおもりなのだと語った。

ラ・クルヌーヴ × ウォルソール — Tiakola, 「Jet Lag」 (feat. Jorja Smith)

パリ北部のボンディで生まれ、ラ・クルヌーヴの「4000」公営住宅団地で育ったコンゴ系ラッパーのティアコラが、9月第4週にアトランティック・フランスから[WpointM]を出した。17曲中15曲目の「Jet Lag」にはイングランド、ウォルソール出身のジョルジャ・スミス(Jorja Smith)が、7曲目の「Best」にはナイジェリア、ベニンシティのレマ(Rema)が参加した。「Best」もリストにある。レマは9月21日の地図にシングル「Oh No」で名前があった。前に出たエニーはジョルジャ・スミスのレーベルFAMMと契約したラッパーだ。ナイジェリアのメディア、ノットジャストオーケー(NotJustOk)は、ティアコラとレマの息の合い方は驚くほどだと書いた。

チューリッヒ — Hermanos Gutiérrez, 「Tren Macho」

アレハンドロ(Alejandro)とエステバン(Estevan)のグティエレス兄弟は、エクアドル出身の母を持ち、チューリッヒで育った。ギターとラップ・スティール、パーカッションを分け持つこの兄弟が、9月25日にイージー・アイ・サウンド(Easy Eye Sound)から[Los Ojos Del Cóndor]を出した。ダン・オーバック(Dan Auerbach)がプロデュースし、彼と組んだ3作目のアルバムで、エクアドルとペルーのルーツをテーマにした。「Tren Macho」は7曲目だ。アレハンドロは、コンドルはアンデスの鳥で、その高さから見下ろして美しさを見出すことのようだとタイトルを説明した。スイスで育った兄弟が、アンデスの鳥の名をアルバム・タイトルに付けた。

イタリア × サンフアン — Gabriele Poso, 「Maraviglia」 (Yoruba Soul Mix, with Osunlade)

イタリアのパーカッション奏者でありプロデューサーのガブリエレ・ポーゾは、2001年にプエルトリコのサンフアンへ渡って音楽を学んだ。2008年にアメリカのプロデューサー、オスンラデ(Osunlade)が設立したヨルバ・レコーズ(Yoruba Records)からデビューし、2012年からヨルバ・ソウル・オーケストラの音楽監督を務めている。原曲「Maraviglia」は6月にAGレコーディングスから出た同名LPの3曲目で、今回オスンラデが参加したリミックスがシングルとして出た。レーベルはこのアルバムを、地中海の温もりとアフロ・カリビアンのパーカッション、ジャズの感覚を収め、片足はダンスフロアにしっかり置いていると紹介した。18年前に自分のレーベルで最初の音源を出した音楽家の曲を、オスンラデがもう一度手がけた。

東アジア

ニューヨーク × 東京 — 山中千尋, 「Blue in Green」

群馬県桐生市に生まれ、バークリーを経てニューヨークを拠点に活動してきたピアニストの山中千尋が、9月30日にユニバーサルから[Happy-Go-Lucky]を出した。2001年の最初のアルバム[Living Without Friday]から25周年を迎えたアルバムだ。「Blue in Green」は1959年、マイルス・デイヴィス(Miles Davis)の[Kind of Blue]に収められた曲だ。レコードにはデイヴィスの名前だけが記されたが、ビル・エヴァンス(Bill Evans)は同じ年の12月に録音した自身の[Portrait in Jazz]に「デイヴィス=エヴァンス」として載せ、1979年のインタビューでは自分が書いた曲だと語った。日本の雑誌『ジャズライフ』は彼女を数十年ぶりの才能と書いた。10月15日からはブルーノート東京をはじめとする日本ツアーが続く。

東京 × ロンドン — Osamu Fukuzawa & edbl, 「About Time」 (feat. INDIA BLUE)

日本の作曲家でありキーボーディストのフクザワ・オサム(Osamu Fukuzawa)とロンドンのプロデューサーedblが、9月23日にステレオフォックス・レコーズ(Stereofox Records)から共作アルバム[Before We Spoke]を出した。アルバムの紹介文は、東京とロンドンのあいだで音と小さなアイデアをやり取りし、たいていは言葉を多く交わす前にこのアルバムができあがったと記した。「About Time」は2曲目で、シンガーのインディア・ブルー(INDIA BLUE)が歌った。アルバムにはロビン・フローレンス(Robyn Florence)とトランペットのジャクソン・メソッド(Jackson Mathod)も参加した。アルバム・タイトルも「言葉を交わす前」だ。

オセアニア

メルボルン → ロンドン — Audrey Powne, 「RYV」

メルボルンで生まれ、今はロンドンに住むトランペット奏者でありシンガーのオードリー・ポーンは、高校時代にメルボルンのサックス奏者トニー・ヒックス(Tony Hicks)から即興と練習の仕方を学んだ。メイシオ・パーカー(Maceo Parker)、ミッドナイト・オイル(Midnight Oil)、ザ・テスキー・ブラザーズ(The Teskey Brothers)のセッションを経て、最大の影響としてロイ・ハーグローヴ(Roy Hargrove)を挙げる。9月25日にBBEから出した2作目のアルバム[Bodies of Water]は自らプロデュースし、ベースのデヴィッド・“DJ”・ジンヤード(David “DJ” Ginyard)とドラムのジョナサン・バーバー(Jonathan Barber)とブルックリンのエレクトリック・ガーデンで録音した。「RYV」は2曲目、「Creeds」は7曲目だ。ミックスを担当したルイス・ムーディ(Lewis Moody)は、同じメルボルンのドラマー、アレクサンダー・フラッド(Alexander Flood)のアルバムを共同プロデュースしてミックスし、フルート奏者エリカ・トゥッチェリ(Erica Tucceri)とも長く仕事をしてきた。二人の曲も今回のリストにある。

メルボルン — Allysha Joy, 「kiss it better」

メルボルンで生まれたシンガーでありキーボーディストのアリーシャ・ジョイは、バンド30/70のヴォーカルだ。9月25日にイギリスのファースト・ワード・レコーズ(First Word Records)から出したシングル「kiss it better」は、2024年のアルバム[The Making of Silk]以来初のソロ・シングルだ。自らプロデュースし、アビー・ロードで録音した。同じ週に出たナイトメアズ・オン・ワックスのEPを録音したあのスタジオだ。リアーナの同名曲とは別の自作曲だ。レーベルはプリンスとミシェル・ンデゲオチェロをこの曲の基準点に挙げた。アリーシャ・ジョイは、夢から覚めるとニューオーリンズの四柱式の大きなベッドの上にいて、その夢から曲が生まれたと書いた。そしてこの曲を、もともとの30/70の仲間たちのおかげだとした。前に出たエリカ・トゥッチェリは、30/70のドラマー、ジギー・ツァイトガイスト(Ziggy Zeitgeist)のプロジェクトでフルートを吹いた。

ラテンアメリカ

リオ → リヨン — João Selva, 「Futuro」

ジョアン・セルヴァはリオのイパネマで牧師の息子として育ち、ボサノヴァ・シンガーのワンダ・サー(Wanda Sá)にギターを習った。2016年にリヨンのプロデューサー、ブリュノ・パッチワークス(Bruno Patchworks)と出会ってソロ活動を始め、2017年に[Natureza]、2021年に[Navegar]などを出した。「Futuro」は9月16日に出たシングルだ。アフリカ音楽メディアのPAM(Pan African Music)は[Navegar]について、フランスでブラジル音楽を伝える大使が書いた、サウダージに近い旅日記だと評した。イパネマの牧師の息子が、フランスで「未来」というタイトルの歌を出した。

サンパウロ × メキシコシティ — Sessa, 「Vía Láctea」

セッサはサンパウロのセルジオ・サイエギ(Sergio Sayeg)だ。2025年にメキシカン・サマーから3作目のアルバム[Pequena Vertigem de Amor]を出した。「Vía Láctea」はメキシコのロックバンド、ソエ(Zoé)が2006年の[Memo Rex Commander y el Corazón Atómico de la Vía Láctea]に収めた曲だ。20年ぶりに多くの音楽家がそのアルバムの曲を歌い直した[Memo Rex Commander y el Corazón Atómico de la Vía Láctea (Revisitado)]が準備中で、セッサのバージョンはブラジルのバンド、ボガリンス(Boogarins)の「Mrs. Nitro」に続く2枚目のシングルだ。Spotifyのシングルにはソエとセッサの名前が並んでいる。メキシコの音楽メディアは、セッサをサンパウロの新世代で最もよく知られた声のひとつと紹介した。

リオ — Marina Iris, 「Canteiro de Obra / Amanhã Será Melhor」 (with Juliana Linhares, Chico César)

サンバ・シンガーのマリーナ・イリスが、9月25日にビスコイト・フィーノ(Biscoito Fino)から5作目のアルバム[Banzo Batucada – Marina Iris Canta Wilson Moreira]を出した。1936年にリオのヘアレンゴで生まれ、2018年にこの世を去った作曲家ウィルソン・モレイラ(Wilson Moreira)の曲を歌ったアルバムで、今年12月が彼の生誕90周年だ。モレイラはネイ・ロペス(Nei Lopes)と長く曲を書いた相棒で、今回のアルバムにはネイ・ロペスとゼカ・パゴヂーニョ(Zeca Pagodinho)、ジョルジ・アラガォン(Jorge Aragão)、テレーザ・クリスチーナ(Teresa Cristina)が参加した。9曲目は、アルバムのクレジットによれば、モレイラとセルジオ・フォンセカ(Sérgio Fonseca)の「Canteiro de Obra」にソラーノ・トリンダージ(Solano Trindade)の「Amanhã Será Melhor」をつないだ曲で、ブラジル北東部から南東部へ移り住んだ移住を扱う。マリーナは北東部出身の二人、リオグランデ・ド・ノルテのシンガー、ジュリアナ・リニャーレス(Juliana Linhares)とパライバのシコ・セーザル(Chico César)をこの曲に呼んだ。彼女は、ずっとウィルソン・モレイラを録音したかったが、それまでのアルバムが自分を別の道へ連れていったと語った。

おわりに

23曲を都市ごとに並べてみると、もう一度取り出された歌の後ろには、その歌が最初に作られた場所とつながる人が立っていることが多かった。スティーヴィー・ワンダーは50年前のエンジニアたちと共に引き出しを開け、ロイ・ヘインズの孫は祖父が1958年に叩いた曲をもう一度叩き、オスンラデは18年前に自分のレーベルで最初の音源を出した音楽家の曲をもう一度手がけた。マリーナ・イリスは生誕90周年を目前にした作曲家の歌でアルバム1枚を満たした。

この順番は地図を描くために決めたものにすぎない。リストをシャッフルして流せば、1976年の次に2026年の新人が出てきて、リオの次にリーズが出てくる。その順番は聴く人が決めればいい。

来週はまたどの引き出しが開くのか、わからない。