はじめに

今週のリストは147曲だ。曲を一つずつリリース日で辿っていくと、不思議と同じ日付が何度も出てきた。9月11日、金曜日。ボノボ(Bonobo)の新作、ストラット(Strut)がまとめたナイジェリアの80年代コンピレーション、細野晴臣の7年余りぶりの新作、サイゴン・ソウル・リバイバル(Saigon Soul Revival)の3作目が、すべてその日に出た。ロンドンとラゴスと東京とホーチミンが、同じ金曜日にレコードを出したという話だ。

だから今回は曲を都市ごとに並べてみた。イギリスから出発してアフリカとヨーロッパ大陸を過ぎてアジアへ、そこからオセアニアと南米を経て北米で終わる順だ。26曲を選び、曲ごとに誰がどこで誰と作ったのかを記した。書いていくうちに、都市と都市のあいだに人が一人ずつ引っかかっていた。メルボルンのバンドのアルバムでフルートを吹いた人がブルックリンのバンドのメンバーでもあり、グラスゴーのトロンボーン奏者とブライトン出身のプロデューサーが同じレーベルにいる。その線を辿ってみよう。

イギリス

ロンドン — Ezra Collective, 「Someday」

ドラマーのフェミ・コレオソ(Femi Koleoso)が率いるロンドンの5人組だ。2023年に[Where I’m Meant to Be]でマーキュリー賞を受賞したが、ジャズのグループとしては初めてだった。2025年にはブリット・アワードの最優秀グループまで手にした。説明のいらないバンドだが、この4枚目のスタジオアルバム[Here Because of Hope]はパルティザン(Partisan)から出て17曲入りだ。「Someday」は6番目のトラックだ。パ・サリウ(Pa Salieu)、リラ・イケ(Lila Iké)、リオナ・ルイス(Leona Lewis)がアルバムの随所に参加し、俳優のレティシア・ライト(Letitia Wright)がナレーションのインタールード3曲を読んだ。この曲にはゲストがいない。ウェブジンWhen The Horn Blowsは、オルガンとギター、ホーン、ピアノが混ざる曲だと書いた。同じアルバムの「El Corazón」と「Black Flag」もリストにある。

グラスゴー — corto.alto, 「SOMETHING」 (feat. BINA.)

corto.altoは、グラスゴーのトロンボーン奏者でありベーシスト、プロデューサーであるリアム・ショートール(Liam Shortall)の名前だ。2024年に[Bad With Names]がマーキュリー賞の候補に挙がった。9月4日にニンジャ・チューン(Ninja Tune)から出た[SOME SMALL FORTUNE]はグラスゴーの自宅スタジオで作られ、同じ都市のジャズ奏者ファーガス・マクリーディ(Fergus McCreadie)、グラハム・コステロ(Graham Costello)が演奏に加わった。「SOMETHING」は14番目のトラックで、サウス・ロンドンのR&BシンガーBINA.が歌った。リストにはこのアルバムからさらに3曲ある。ロンドンのギタリスト、オスカー・ジェローム(Oscar Jerome)が参加した「PRAYED WE WOULD」、そしてファイフ出身で2026年ブリット・アワードのクリティクス・チョイスを受賞したジェイコブ・アロン(Jacob Alon)が歌う最後の曲「NOBLEHILL」、ゲストのいない「TEMPLE」だ。ショートールはインタビューで、好きな音楽家たちときちんとしたコラボレーションをしたかった、コントロール魔のように振る舞いたくなかったと語った。トラックリストがその言葉どおりに組まれている。

ブライトン → LA — Bonobo, 「Youth’s Fountain」 (feat. Nilüfer Yanya)

ボノボはブライトンで生まれ、今はLAに住むサイモン・グリーン(Simon Green)だ。corto.altoと同じニンジャ・チューン所属で、9月11日に8枚目のアルバム[Distance in Static]を出した。LAと東京、ロンドンで録音し、ニール・ヤング(Neil Young)のブロークン・アロー・ランチでも作業した。レーベルが明かした参加陣にはアルージ・アフタブ(Arooj Aftab)、ジョイ・クルックス(Joy Crookes)、青葉市子といった名前がある。「Youth’s Fountain」は8番目のトラックで、ロンドンのチェルシーで育ったシンガーソングライター、ニルファー・ヤンヤ(Nilüfer Yanya)が歌った。同じアルバムの「Mercury」と「Uncasually」もリストにある。corto.altoのアルバムが出てちょうど一週間後、同じレーベルから出たアルバムだ。

マンチェスターのレーベル — Jack Wyllie, 「Magazine」

ジャック・ワイリーは2005年にロンドンで結成されたポルティコ・カルテット(Portico Quartet)の創設メンバーだ。彼が自分の名前で出す初の本格ソロアルバム[Eternal Spring]が9月11日にマンチェスターのゴンドワナ・レコーズ(Gondwana Records)から出た。Spotifyのクレジットにはダンカン・ベラミー(Duncan Bellamy)とマイロ・フィッツパトリック(Milo Fitzpatrick)も並んでいるが、二人ともポルティコ・カルテットでワイリーと息を合わせてきた仲間だ。アルバムにはピアニストのハニア・ラニ(Hania Rani)も参加した。「Magazine」は3番目のトラックだ。All About Jazzはこの曲を弦のロンドと呼び、1980年代のマイケル・ナイマン・バンドを思い浮かべた。長く一緒に演奏してきた友人たちがリーダーの初ソロ作にクレジットで並んで立っていること、それがこの曲の紹介としては十分だ。

アフリカ

ラゴス、1980年代 — Stella Monye, 「Oke Mi Ye」

ストラット・レコーズが9月11日に出したコンピレーション[Nigeria 80]の収録曲だ。2001年の[Nigeria 70]の続編で、13曲すべてが初めて再発されるとレーベルは明かした。ヴィクター・ウワイフォ(Victor Uwaifo)、プリンス・ニコ・ムバルガ(Prince Nico Mbarga)、セグン・アデワレ(Segun Adewale)が同じ盤にいる。ステラ・モニェは「サンバ・クイーン」というあだ名で呼ばれたナイジェリアの歌手で、最初のレーベルはEMIだった。ナイジェリアの日刊紙ThisDayのインタビューによれば、イフェ大学で演劇を学んでいた頃にこの曲を書いた。伝記資料では曲名が「Oko Mi Ye」と記されているが、このコンピレーションは「Oke Mi Ye」と表記した。原曲が出た年は資料によって1982年、1983年、1984年と分かれるので、ここでは80年代初中盤とだけ記しておく。ストラットはこのアルバムが、豊かで休まず創造的だった10年を掘り起こすと紹介した。40年余り前の曲が、今年新たに出た音盤のあいだに挟まっている。

ダーバン・ヨハネスブルグ — Nasty C × Tellaman, 「Natural」

ソウェトで生まれダーバンで育ったラッパー、ネイスティCとダーバンのシンガー、テラマンは2019年の「Whipped」以降、何度も一緒に曲を出してきた。その果てに9月1日、初の共同アルバム[T’s & C’s Apply]が出た。17曲で、ネイスティCのレーベル、トール・ラックス(Tall Racks)とテラマンのセレクト・プレイ(Select Play)が独立で出した。「Natural」は8月4日に先行公開されたシングルであり、アルバムの6番目のトラックだ。南アフリカのヒップホップ・メディアは、より柔らかいR&B寄りのサウンドだと書き、二人はこのアルバムを冬に聴く居心地のいいアルバムと呼んだ。このアルバムにゲストとして参加したヨハネスブルグのR&Bシンガー、ルサンダ(Lusanda)は9月11日に自身のEP[By The Time I Wake Up]を出し、その最後の曲「Lunchbox」も今回のリストにある。テムス(Tems)やサマー・ウォーカー(Summer Walker)の曲を作ったアヌープ・ディスーザ(Anoop D’Souza)がプロデューサーだ。先輩のアルバムに声を添えたシンガーが、同じ月に自分の名前で曲を出した。

ヨハネスブルグ — Bokani Dyer, 「Thembisa」 (feat. Phoebe Mgxaji)

ボカニ・ダイアーはボツワナのハボローネで生まれ、ヨハネスブルグで育ったピアニストだ。ケープタウン大学でジャズを学び、2011年にスタンダード・バンク・ヤング・アーティストのジャズ部門に選ばれた。「Thembisa」は10月1日に出るアルバム[Traditions]のために新たに解釈した曲だ。アルバムは南アフリカの音楽の古い曲を歌い直す作業が中心で、最初の曲はノフィニシ・ディウィリ(Nofinishi Dywili)の「Inxembula」だ。ドラムはルマニャノ・ムジ(Lumanyano Mzi)、ベースはティム・ノートン(Tim Norton)が担った。ボーカルのフィービ・ムグシャジ(Phoebe Mgxaji)は、ダイアーがウィットウォーターズランド大学で教える仕事をしていて出会った歌手だ。ダイアーはインタビューで、芸術のなかで真正さを守ろうと努めていると語った。古い歌を歌い直すアルバムに、教室で出会った声を連れてきた。

ヨーロッパ大陸

ベルリン × ブダペスト — Àbáse, 「Búsulni Nem Tudtam / Learning Sorrow」 (with Kacsó Hanga)

アバセはブダペストで育ちベルリンで活動するハンガリーのキーボーディストでありプロデューサー、サボルチ・ボグナール(Szabolcs Bognár)だ。2017年のブラジル旅行でデビュー作[Laroyê]を作り、ウェイン・スノウ(Wayne Snow)やデレ・ソシミ(Dele Sosimi)のキーボードを担ってきた。今回、彼が振り返った先は自分の国だ。11月6日にオシュ・レコーズ(Oshu Records)から出るアルバムのタイトル[Nefelejcs]はハンガリー語で勿忘草を意味するが、亡くなった母が最も好きだった花だ。歌ったカチョー・ハンガ(Kacsó Hanga)はリスト音楽院で学び、2016年からハンガリーの民俗音楽グループ、ムジカーシュ(Muzsikás)の歌手として活動している。ベルリンで活動する奏者ペッテル・エルド(Petter Eldh)、オティス・サンショー(Otis Sandsjö)、シルヴァン・シュトラウス(Silvan Strauss)が一緒に録音した。同じ組み合わせで先に出た曲「Fekete Szem / Black Eye」もリストにある。ブラジルで最初のアルバムを作った人が、今回は母が好きだった花の名前をアルバムに付けた。

ヨーテボリ × ストックホルム — Yukimi, 「Vann du livet?」 (with Dina Ögon, Little Dragon)

ユキミ・ナガノ(Yukimi Nagano)は1996年にヨーテボリで結成されたリトル・ドラゴン(Little Dragon)のボーカルだ。2025年3月に初のソロアルバム[For You]を出し、9月11日にプレイグラウンド・ミュージック(Playground Music)からこのシングルを出した。スウェーデンの音楽産業誌Musikindustrinによれば、彼女がスウェーデン語で歌った初めての曲だ。共演したディナ・オゴン(Dina Ögon)は2020年にストックホルムで結成されたバンドで、同じプレイグラウンド所属だ。ユキミはスウェーデンのメディアのインタビューで、まったく新しい声を見つけたようだったと語った。Stereofoxは、後ろで漂うハーモニーが重さを取り除くと書いた。リトル・ドラゴンで長く歌ってきた人が初めてスウェーデン語で歌い、傍らにはストックホルムの後輩バンドがいる。

タリン → マデイラ — Misha Panfilov, 「Away We Drove」

エストニア出身で今はポルトガルに住むミーシャ・パンフィロフは、セプテット、サウンド・コンボ、エストラーダ・オーケストラといった複数の名義で音盤を出してきた。新作[Where the Birds Fly]は6曲入りで、いつも共にしてきたファンク・ナイト・レコーズ(Funk Night Records)から出た。「Away We Drove」は5番目のトラックだ。パンフィロフがピアノとラップスティール、ハルモニウム、メロトロンを担い、ザ・ハンギング・スターズ(The Hanging Stars)のジョー・ハーヴィー=ホワイト(Joe Harvey-Whyte)、サウンド・コンボでも共にする木管奏者イリヤ・グッサロフ(Ilja Gussarov)が参加した。レーベルは、夢のような木管と弾力のあるラップスティール、歌詞のないボーカルをこのアルバムの材料に挙げた。幾何学模様(Kikagaku Moyo)出身の桂田智とも作業したことがある。バルト海から大西洋の島まで移り住んだ人の音盤のタイトルが「鳥たちが飛んでいく場所」だ。

アジア

ホーチミン — Saigon Soul Revival, 「Tình Điên」

2016年にホーチミンで結成されたバンドで、1975年以前のサイゴンの大衆音楽を今のソウルとロックで蘇らせてきた。9月11日にサイゴン・スーパーサウンド(Saigon Supersound)から出た[Chốn Ta Về]は「私たちが帰る場所」という意味だ。先行するアルバムを共に作ったヤン・ハーゲンケッター(Jan Hagenkötter)が今回もプロデューサーを担い、全工程をアナログで録音した。「Tình Điên」はボーカルのグエン・アイン・ミン(Nguyễn Anh Minh)が書いて歌った。ベトナムの日刊紙トゥオイチェは、このアルバムがトルン(t’rưng)と竹笛をソウル、ロックと混ぜたと見出しを取った。彼らの曲はHBOのドラマ[The Sympathizer]に使われた。半世紀前のこの都市の歌を、今のこの都市のバンドが受け取って歌っている。

東京 — 細野晴臣, 「Figlio Perduto」

はっぴいえんどとイエロー・マジック・オーケストラを作った細野晴臣が、9月11日に23枚目のスタジオアルバム[Yours Sincerely]を出した。海外はゴーストリー・インターナショナル(Ghostly International)、日本はソニー・ミュージックが担い、Bandcampは7年以上新しい音楽がなかった末の新作だと紹介した。「Figlio Perduto」は9番目のトラックだ。Bandcamp Dailyは、この曲にベートーヴェンの交響曲第7番が着信音として織り込まれていると書いた。細野はアルバムの紹介文にこう記した。もう78歳だが、ここからまだ知らない音楽への好奇心が膨らんでいると。彼は9月16日にニューヨークのラジオ・シティ・ミュージックホール、20日にLAのグリーク・シアターで、トロ・イ・モア(Toro y Moi)とともにステージに立つ。

東京 — 折坂悠太, 「シミレ」 (feat. 柴田聡子)

9月9日に出たデジタルシングルだ。曲は折坂が書き、歌詞は折坂と柴田聡子が一緒に書いた。ジャケットは折坂が自ら破って貼ったコラージュだ。この曲は沖田修一監督の映画『さとこはいつも』の主題歌で、映画は9月18日に公開される。柴田聡子はこの映画の音楽全体を手がけた。一本の映画をめぐってシンガーソングライター二人が、一人は音楽監督として、一人は主題歌の作曲家として出会い、結局一曲のなかで一緒に歌うことになった。折坂はこの曲を終わりではなく読点のように置きたかったと語った。彼は10月25日に東京、31日に大阪でバンド編成の公演を開く。

ソウル — LE SSERAFIM, 「Made My Night」 (feat. EJAE)

ル・セラフィムのシングル「Made My Night」のEJAE参加バージョンが9月14日に公開された。原曲はそれより数日前に出ており、5月に出た2ndフルアルバム[Pureflow Pt. 1]とは別のシングルだ。EJAEは[Kポップ・デーモン・ハンターズ]でルミの歌声を担い、劇中歌「Golden」で2026年のゴールデングローブとグラミーを受賞した。SMで10年以上練習生として過ごし、レッド・ベルベットの「Psycho」やル・セラフィムの「So Cynical (Badum)」を書いた作曲家でもある。今回のバージョンでは1番をル・セラフィムが、2番をEJAEが歌う。EJAEは2番の歌詞に「FEARLESS」「ANTIFRAGILE」「CRAZY」を指し示す箇所を自ら入れた。このチームに曲を書いていた人が、今回は同じチームの歌に自分の声で入った。

マーゲート × マニラ — Thandii × Jun Regalado, 「Future Lover」

タンディはジェス・ベリー(Jess Berry)とグレアム・ゴドフリー(Graham Godfrey)のデュオで、ゴドフリーはフィリピン系だ。ジュン・レガラードはフィリピンで最も多く録音したドラマーと呼ばれる70代後半の奏者で、数百枚のアルバムでドラムを叩いた。彼の「Pinoy Funk」は2024年のサウンドウェイ(Soundway)のコンピレーション[Ayo Ke Disco]に収められた。二組が一緒に作った[Coco Okayo]が9月11日にサマ・サマ・レコーズ(Sama Sama Records)から出た。二人が付けた名前は「マー・ニラ(MAR-NILA)」、マーゲートと1970年代のマニラ・サウンドを合わせた言葉だ。「Future Lover」はA面3番目で、すぐ前の曲「Run Run」もリストにある。レーベルは、レガラードが同時代の同僚たちの外側の音楽家と作業したのは今回が初めてだと明かした。フィリピン系の音楽家が属するイギリスのデュオと、70代後半のマニラのドラマーが、一枚のアルバムに並んで名を連ねた。

オセアニア

メルボルン — Surprise Chef, 「Outside Voice」

メルボルンのコバーグの一軒の家にメンバー三人が一緒に住み、その家にアナログスタジオを構えたバンドだ。ギターのラクラン・スタッキー(Lachlan Stuckey)とキーボードのジェスロ・カーティン(Jethro Curtin)はレーベルのカレッジ・オブ・ノレッジ(College of Knowledge)も共に立ち上げた。「Outside Voice」は「Inside Voice」と対になったダブルシングルで、10月23日にコンコード・ジャズ(Concord Jazz)から出るアルバム[Frogs In A Pond]の2番目のトラックだ。このレーベルから出す初めての音盤だ。9日間ほぼライブで録音し、ピエロ・ウミリアーニのようなイタリアのジャッロ(giallo)映画音楽から着想を得た。アルバム全体でフルートを吹いた人はレオン・ミシェルズ(Leon Michels)だ。この名前は北米の章でもう一度出てくる。バンドは二曲をもともと一曲として書いたと言い、「Inside Voice」が映画のオープニング・シークエンスのテーマのように働くと説明した。

メルボルン — Karate Boogaloo, 「Down Home」

サプライズ・シェフと人で緊密に絡み合ったチームだ。高校で出会い、ザ・ミーターズ(The Meters)やブッカー・T&ザ・MG’sのカバーバンドとして出発した4人組で、メルボルンのカクタス・チャンネル(The Cactus Channel)でリズムセクションを担っている。ベーシストのヘンリー・ジェンキンス(Henry Jenkins)はサプライズ・シェフの長年のプロデューサーでありエンジニアで、ドラマーのハドソン・ホイットロック(Hudson Whitlock)もサプライズ・シェフの新作に参加した。2019年にはカレッジ・オブ・ノレッジで二組がスプリット7インチを出した。「Down Home」は10月9日にアメリカ・オハイオのコールマイン・レコーズ(Colemine Records)とカレッジ・オブ・ノレッジが共同で出す[Access All Areas]の先行曲で、一緒に公開された「Tremendous Fantastic」もリストにある。バンドが共に書いてプロデュースし、ヘンリー・ジェンキンスがミックスを、アレックス・ベネット(Alex Bennet)がエンジニアを担い、アンペックス440の4トラックテープで録音した。あるブログは、半分は[シャフト]、半分は怪しい70年代の刑事物のようだと書いた。

メルボルン × ロンドン — The Avalanches, 「Every Single Weekend」 (feat. Jamie xx)

サンプリングでアルバムを組むメルボルンのチームだ。Spotifyではこの曲がシングル「Far Away」の束の下にあるが、もともとは6月初めに先に公開されたシングルで、10月16日にモジュラー(Modular)から出る新作[No Bad Memories]の5番目のトラックだ。ジェイミーxx(Jamie xx)とは2024年の「All You Children」でも共にした。バンドは、ジェイミーxxのアルバム[In Colour]がサンプリングへの情熱に再び火を付けたと言い、この曲は9時出勤6時退勤の堂々巡りを忘れて手放す歌だと説明した。新作の参加陣にはカレンO(Karen O)、マイク・パットン(Mike Patton)、パンダ・ベア(Panda Bear)、カーリー・サイモン(Carly Simon)、そして細野晴臣がいる。東京の章で見たあの名前だ。

ラテンアメリカ

バイーア → サンパウロ — Gilberto Gil, 「Luar (A gente precisa ver o Luar)」 (Ao Vivo em São Paulo)

ジルベルト・ジルの惜別ツアー「テンポ・レイ(Tempo Rei)」は公演記録として残されている。6月26日、彼の誕生日に第一巻が出て、四巻からなるシリーズのうち三番目の[Tempo Rei, Vol. 3 (Ao Vivo)]が9月7日に出た。8曲入りで「Luar」は2番目のトラック、サンパウロ公演の録音だ。原曲は1981年の同じタイトルのアルバムに収められた。最終巻とLP4枚組のボックスは11月に出る。第一巻にはシコ・ブアルキ(Chico Buarque)と歌った「Cálice」が入っている。ステージを降りていく人が45年前の歌をサンパウロの観客の前で歌い直し、その録音が一巻ずつ出てきている。ブラジルが自国の巨匠をどう見送るかを見せてくれるシリーズだ。

リオ — Joyce Moreno, 「Aldeia De Ogum」

1980年のアルバム[Feminina]の9番目のトラックだった曲を、ジョイス・モレノが新たに録音した。再発ではない。9月11日にシングルとして出て、10月30日にロンドンのファー・アウト・レコーディングス(Far Out Recordings)から出る新作[Never Too Soon]に入る。プロデューサーはジョイスと夫のドラマー、トゥッチ・モレノ(Tutty Moreno)だ。ホーンのアレンジはナイロル・プロヴェタ(Nailor Proveta)が手がけ、アルバムにはミナス・ジェライスのギタリスト、トニーニョ・オルタ(Toninho Horta)も参加した。46年前に自分のアルバムに収めた歌を、今回は夫と共にプロデュースしてロンドンのレーベルから再び出した。

バイーア — Fatel × Ivan Sacerdote, 「Cobra Coral」

ファテウはバイーアのサンフランシスコ川流域の都市ジュアゼイロ出身のシンガーソングライターで、ゼ・マノエル(Zé Manoel)、トン・ゼ(Tom Zé)と作業してきた。7月末に出た新作[RASANTE]は10曲で、ファテウとタルシジオ・サントス(Tarcísio Santos)がプロデュースした。「Cobra Coral」は4番目のトラックで、ワリー・サロモン(Waly Salomão)とカエターノ・ヴェローゾ(Caetano Veloso)の歌を歌い直した曲だ。クラリネットを吹いたイヴァン・サセルドーテはリオで生まれ、14歳からサルヴァドールで暮らした奏者で、2020年にカエターノ・ヴェローゾとデュオアルバムを出した。そのときカエターノは、誰もが彼の音の甘さに魅了されたと語った。ファテウは、このアルバムがセルタォンを描写するのではなく、そのなかでブラジルを歌おうとしていると明かした。

ブラジリア × レシフェ — Saci Wèrè, 「Tempo bom」 (with Martins)

サシ・ウェレはブラジリアの7人組で、MPBとイジェシャ(ijexá)、トロピカリアを混ぜる。2枚目のアルバム[Pra Ninar o Fim do Mundo]は「世界の終わりを寝かしつけるために」という意味で、8曲が収められた。サムエル・モタ(Samuel Mota)がプロデュースとミックス、マスタリングを担い、ブラジリア連邦区の文化基金で作られた。「Tempo bom」には1990年にレシフェで生まれたシンガーソングライター、マルチンス(Martins)が参加した。ネイ・マトグロッソ(Ney Matogrosso)、シモーニ(Simone)、ダニエラ・メルクリ(Daniela Mercury)が彼の曲を歌った。メンバーのクリス・バレア(Chris Barea)は、この曲がジャムから生まれたと言い、音が心地よく海のようだったので、船と船を漕ぐ話を即興で付けたと語った。同じブラジリアのベーシスト、オスワウド・アモリン(Oswaldo Amorim)が仲間たちと演奏したジャコ・パストリアスの「Three Views of a Secret」も今回のリストにある。

北米

ブルックリン × リオ — Menahan Street Band, 「Palace of Illusions」 (with Arthur Verocai)

2007年にブルックリンで結成されたメナハン・ストリート・バンドは、トミー・ブレネック(Tommy Brenneck)、デイヴ・ガイ(Dave Guy)、レオン・ミシェルズ、ニック・モヴション(Nick Movshon)、ホーマー・スタインワイス(Homer Steinweiss)がメンバーで、チャールズ・ブラッドリー(Charles Bradley)のバックバンドだった。オセアニアの章でサプライズ・シェフのアルバムにフルートを吹いたあのレオン・ミシェルズがここにいる。「Palace of Illusions」は11月13日にダイアモンド・ウェスト・レコーズ(Diamond West Records)から出る[Illusions]の最初の曲で、1972年のセルフタイトル・アルバムで知られるリオの編曲家アルトゥール・ヴェロカイが弦のアレンジを書いた。プロデューサーはブレネックだ。ブレネックは、ヴェロカイのアレンジとバンドのホーン・メロディが合わさったことが自分にとっては完全な夢だったと語った。ラテンアメリカから北米へ渡る橋として、この曲を置いた。

LA × モントリオール — Kiefer, 「BusyForYa」 (feat. Planet Giza, Shibo)

サンディエゴで育ちLAで活動するピアニスト兼プロデューサー、キーファー・シャッケルフォード(Kiefer Shackelford)はUCLAでギタリストのケニー・バレル(Kenny Burrell)の教えを受けた。ストーンズ・スロウ(Stones Throw)を経てブルーノートに移り、移籍後初のアルバム[Memory Bomb]が9月25日に出る。「BusyForYa」は9月11日に公開されたシングルだ。モントリオールのヒップホップ・トリオ、プラネット・ギザ(Planet Giza)がラップをし、キーファーの親友でツアーのオープニングを担うギタリスト、シボ(Shibo)が参加した。プロデューサーはキーファーとシボ、カートゥーンズ(CARRTOONS)だ。カートゥーンズは今回のリストでマック・エアーズ(Mac Ayres)の「Please Come Home」にも名前がある。Stereofoxは、滑らかで官能的なジャズ・ソウルだと書いた。

ブルックリン × フィラデルフィア — Standing On The Corner, 「Sonia」 (with Sonia Sanchez, Solange)

ジオ・エスコバー(Gio Escobar)が率いるブルックリンのコレクティブだ。2019年にソランジュ(Solange)の[When I Get Home]で6曲のプロデュースと作曲に参加した。9月11日にXLレコーディングスから正式発売された[Standing On The Corner “II”]は、もともと2025年9月11日にタイムズスクエアでDVDとして売られた作品だ。「Sonia」は13番目のトラックだ。名前を与えた人はバーミンガムで生まれた詩人ソニア・サンチェス(Sonia Sanchez)で、ブラック・アーツ運動の中心にいて、フィラデルフィアの初代桂冠詩人を務めた。SPINによれば、先にYouTubeに上がったバージョンではサンチェスはそのままで、ビッグ・シャグ(Big Shug)の席を今回ソランジュが埋めた。詩人の声と、このバンドがアルバム作業に参加した歌手の声が同じ曲にある。

フィラデルフィア × LA — Christian McBride & Ursa Major, 「No Rhyme, No Reason」

フィラデルフィアの芸術高校とジュリアードを経たベーシスト、クリスチャン・マクブライドはグラミーを何度も受賞した。彼のバンド、アーサ・メジャーが10月30日にマック・アヴェニュー(Mack Avenue)から[Points of Light]を出す。サックスのニコール・グローヴァー(Nicole Glover)、ギターのイーライ・パールマン(Ely Perlman)、ピアノのマイク・キング(Mike King)、ドラムのサヴァンナ・ハリス(Savannah Harris)がメンバーだ。「No Rhyme, No Reason」はジョージ・デューク(George Duke)の1992年のシングルを演奏し直した曲で、アルバムで唯一のカバーだ。プロデューサーはLAのテラス・マーティン(Terrace Martin)だ。ジャズ・ブログのmarlbankは、マーティンがオーバーハイムとミニムーグ、ボコーダーを加えて曲を電子音の方へ移したと書いた。フィラデルフィアから来たベーシストが、LAのプロデューサーの手を借りてジョージ・デュークに挨拶する曲だ。

おわりに

26曲を都市ごとに並べてみると、線がいくつか残った。メルボルンのコバーグの家で録音したアルバムにフルートを吹いたレオン・ミシェルズは、ブルックリンでリオの編曲家が弦を書いた曲を録音した。東京の細野晴臣は、自分の新作とは別に、メルボルンのチームの新作の参加陣にも名前がある。ダーバンの二人の先輩が作ったアルバムに声を添えたルサンダは同じ月に自分のEPを出し、ヨハネスブルグのピアニストは教え子を自分のアルバムのボーカルに連れてきた。

この順番は編集部が決めた順番にすぎない。リストをシャッフルして流せば、ラゴスの次にホーチミンが出てきて、ブラジリアの次にグラスゴーが出てくる。その順番は聴く人が決めればいい。

来週のリストではまた、どの都市が同じ日付でまとめられるか分からない。